ELT Blog Vol. 04 Part2:世界Topを受賞した革新的な英語教育とは?!Pearson ELT Teacher Award 2017受賞者インタビュー
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英語教育業界の大変名誉ある賞
Pearson社(*)のティーチャーアワード。
アジア・オセアニアで唯一選ばれたのは、なんと日本の英語教師。
山梨県出身、ロンドン(UCL)で言語応用学研究を経て帰国した
嶋津幸樹氏(27歳)。
受賞にいたった英語教育とは一体?!
今回はその独自のスタイルを探るべく
彼のバックグラウンドからみっちり
インタビューしてきました!
嶋津氏のバックグラウンドを探ったインタビューPart 1はこちら。
記者:『英語キャンプ』今回の受賞の評価になった『白熱イングリッシュキャンプ』のことですか?もっと具体的に聞かせていただけますか?
嶋津氏:はい。大学1年の夏、初めて英語キャンプを開催しました。もちろん教え合う英語キャンプです。キャンプでは教え合いが最大化できます。学年が異なる生徒が一挙に同じ教室内に集まり授業を行いますので、3日間のキャンプで壁がなくなります。教える側も教えられる側も弱点が見えやすくなり達成感も味わえます。
嶋津氏:大学2年の時には噂が広まり山梨だけでなく、東京、神奈川、静岡からも参加希望者が出てきました。3つの校舎に通う生徒たちが集まり教え合う、年2回のこのキャンプで生徒のモチベーションは飛躍しました。
嶋津氏:大学3年生になると、キャンプに参加する生徒は100人を超え、飛行機を使ってでも参加する県外の生徒も現れました。小学生から大学生までが共に学ぶ英語キャンプが形になったきた頃です。さらに卒業生が講師として参加してくれるようになり、生徒が先生になっていく姿が何よりも嬉しかったです。
嶋津氏:海外からもゲストを招くようになりました。これまでにアメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、マレーシア人などがこれまでのキャンプに参加してくれました。生徒のモチベーションはさらに向上し、「キャンプに参加するために頑張る!」という生徒も出てきました。
このような形式で塾のメインイベントとして毎年夏と冬に英語キャンプを実施し、小学生から高校生までがプロジェクト型に学び教え合う環境が確立していきました。英語キャンプがなかったら塾自体もここまで盛り上がることはなかったと思います。
記者:大好評ですね!その後塾を売却されたそうですが、こんなに人気だったのになぜですか?
嶋津氏:理由はいくつかあります。まず自分の英語力に限界を感じたということ。高校生で英検1級、準1級に合格する生徒やTOEFL、IELTSに挑戦する生徒など、留学経験のある生徒もいました。IELTS受験も生徒と一緒に受けなければならないこともあり、危うく負けそうになることもありました。さらに僕がやっていたことは富裕層向けの塾経営なので金銭的な理由で入塾できない子もいました。自分の手の届く範囲ではこれ以上のことはできない。そう感じて全国でより影響力のあるムーブメントを起こしたいと考えていました。そして売却を決意し、大学院修士号取得のためイギリスに留学しました。
記者:そういう経緯があったのですね。英国留学中も活発に活動されていたと聞きましたが、どういったことをしていたのですか?
嶋津氏:留学中、日本に一時帰国した際の出会いが人生に転機をもたらしてくれました。 千葉県で先進的なICT教育を実践する英語教員にご縁を頂き電通イノベーションラボでの英語教育の集いに起業家枠でお話をする機会を頂いたのです。民間企業と学校がイノベーションを起こそうという試みで起業家2人と英語の先生方10名が集まり最先端の英語教育を議論する場があったんです。
嶋津氏:まずは僕が最年少という理由から先陣を切り、これまでの英語教育の実践を話しました。その後、もう一人の若手起業家、ハバタク株式会社代表の長井悠のとんでもない話が始まったのです。東京大学に後期で入学し東京大学院までバッハの研究をして、その後IBMでコンサルタントとして働いた後、教育ベンチャーを立ち上げたという稀有な経歴。ハバタク株式会社の世界に影響を与えるという壮大なビジョンに圧倒されました。
嶋津氏:そこで紹介されたのが前々から注目していた白川寧々の話。白川寧々は僕が注目していた英語教育改革者の一人で、日経ビジネスオンラインでも取り上げられていて、簡単に紹介すると日本の義務教育を受けて独学でTOEFL満点を取りアメリカのデューク大学を卒業し、世界大学ランキング1位のMIT(マサチューセッツ工科大学)でMBAを取得した強面のお姉さんです。ハバタク株式会社が白川寧々が運営するアメリカの会社 ” NativeMind Inc. “とのコラボレーションを実施しているというのです。
嶋津氏:僕はすぐに長井さんのところへ行き、「白川寧々さんを紹介してもらえませんか?」とお願いすると「白川寧々も来週アメリカから日本に来るから3人で会いましょう」と承諾してもらいすぐに実現してしまったんです。
嶋津氏:この2人のお兄さん、お姉さんから物凄い刺激を受けましたね。議論を重ねること約半年、ネイティブ脳の知見を応用してハバタク株式会社のグローバル教育部門の子会社として新しく世界にハバタク若者を応援する教育ベンチャータクトピアが誕生することとなったので、僕はそこに入れてもらった感じです。この後すぐにイギリスに戻ることになったんですが、この2人から色々なアドバイスを頂いて行動を起こしました。ロンドンに住み始めてからは、日本に興味を持つロンドン大学の学生を集めて日本語を教えたり、タクトピアの説明会を開いたり、また現地に留学する日本人にインタビューして記事を書いたりしました。キャンプに向けては何度もミーティングをして海外大学生に色々なアドバイスを受けて教育プログラムの開発に注力していました。
記者:タクトピアとはそんな出会いだったんですね!タクトピアのキャンプはどのように始まったのですか?
嶋津氏:次の一時帰国時には既に動き出していました。まず1回目は2015年夏、ディスカバリーチャネルの協力を得て、2日間の短いイングリッシュキャンプを開催しました。これまで独自にやってきたキャンプとは違う視点で色々なことを学び、これは天職だなと感じました。プログラム開発から集客、現場での生徒とのコミュニケーション、全てが楽しくてワクワクしていました。
嶋津氏:そのまた次の一時帰国時にはハーバード大学とロンドン大学から5名ずつ海外大学生を招待して山梨県で英語キャンプを実施しました。自分の教え子たちがまだ山梨にたくさんいたので、こういう機会を山梨で提供したいと思っていました。この時にはタクトピアメンバーの知見を借りて、これまで出来なかった理想のキャンプを作ることができました。
記者:タクトピアでのキャンプは今までとどう違うのですか?
嶋津氏:タクトピアのキャンプでは、最新の言語教育理論や学びの幅も格段に広くなっています。単純に英語を学ぶキャンプではなく、必然的に英語を話さなければならない環境を作ることも目的としています。そして何よりも海外大学生が大学で専攻する学問を英語で学ぶ内容言語統合型学習(CLIL)が実現できている点も魅力の一つです。タクトピアには海外大学生との強力なコネクションもあるので、内容も規模も回数を重ねるごとにレベルアップしていってます!
記者:海外大学生と触れ合えるなんて貴重な体験ですよね。学校にはない気づきや学びがある場という感じですね!ではでは、そろそろインタビューも終わりにしようと思いますが、最後に、今後の英語教育活動への野望(宣言)、英語教育に対する想いをお願いします!
嶋津氏:これまで培ってきたものを有効活用してアジア全体でタクトピアが掲げるミッションを遂行していきたいです。特に英語教育プログラムに関しては、内容を精査していくとともに自分も現場に立ち、日本全国で本当のあるべき英語教育を訴え続けていきます。教育界には保守的な派閥も多く、国内戦で完結してしまう議論があり、新しいものを入れていくには僕らの世代がどんどん行動してフィードバックしていく必要があると考えています。ゆとり教育を受けた身として、またSELHi指定校で英語教育を受けた経験と海外大学で自分の英語力が及ばず悔しかったという実体験のギャップを埋めるべく、手の届く範囲から英語教育を変えていきたいと思っています。
嶋津さん、ありがとうございました!
今後の活躍も期待しています!! 🙂