Q 01: アメリカの大学で学びたい!けど、親が色々心配している・・・どうしよう?

グローバル進路相談ならどんとこい。
日英中のトライリンガル・自力で海外進学の道を切り拓いた
“ねね”が日本の高校生のお悩みをサクッと解決!

<回答者プロフィール>

Shirakawa

白川寧々 (Ning Neinei)
マサチューセッツ工科大学(MIT)経営学修士、アントレプレナーシップを学ぶ。中国生まれのフェリス女学院育ち。17 歳で一念発起し、塾にも語学留学にも一切頼らず、完全独学で、TOEFL、SAT、エッセイの洗礼を受け、Duke 大学に進学。卒業後は米会計系コンサルタントとして働く。英語圏での活躍を夢見る日本の学生の力になりたいと思い、英語学習プログラム「ネイティブ脳」をMITのFellowshipを受けて立ち上げる。

 

本日の相談者:HN:チシャ猫 様

初めまして!私は都内の高校1年生です。
将来は日本の大学ではなく、アメリカの大学で学びたいと強く考えています。しかし、周囲からの反発が強く、とても悩んでいます。寧々さんから是非アドバイスを頂けないでしょうか?

私はこの夏にボストン周辺の大学を周るスタディツアーに参加しました。現地での生活や学生との交流を進める中で、「海外留学で幅広い視点を身につけたい!」という思いが強まりました。

帰国後すぐに「アメリカの大学に行きたい」と家族に言ったところ、応援どころか「行って何をするんだ?どうして日本じゃダメなのか?そんな甘い気持ちじゃ失敗する」など、大反対を受けてしまいました….。
その場は一度引き下がったものの、今も留学への思いが消えません。
周囲に留学経験のある人もおらず、誰にも相談できません。さらには、学校の先生からも心配されています。どうしたら皆から理解をしてもらえるでしょうか?

q01-1

<ANSWER>

回答者:白川寧々

まず、「なんとなくの憧れでアメリカの大学行きたい!」で進学に興味を示し、行動を開始したチシャ猫さん。君は偉い。その「なんとなく」さを恥じる必要は全くありません。理由はざっくり2つあります。

1)普通に日本の大学に進学する周りの人々も、理由は結構テキトーだから。偏差値がちょうどいいとか。模試の成績が上がったり下がったりしたから、とりあえず志望校上げたり下げたり。もっと言うと、15-16歳の段階で、「なんとなくのあこがれ」以外で進路や未来を思い描ける人間もそうそういないんだから、アメリカの大学というちょっと周りと違う選択肢に興味を持ったからといって周りよりしっかりした理由付けが今すぐ必要かっていうと、絶対そんなことはありません。

私自身、17歳を回ったころに「そうだ、アメリカに行こう!」と決めたクチですが、誓って「これこれを勉強したい」なんて当時わかっていたわけではなく、超絶「なんとなく」でした笑。その後、色々学校や学びたい分野も調べて出願前にはそこそこ見えていた、と思ったのですが、進学後1年で全てのプランが変わりました。そんなものです。

特に、「何を学びたいのか、どうしてわざわざアメリカなのか」という質問に今すぐしっかりした答えを持つことがアメリカの大学を目指す条件だ!みたいなことを言ってくる人は絶賛無視しましょう。彼ら自身、「なぜ自分の家から一番近い大学にしなかったのか」という問に明確な答えを持って進学したわけではないからです。

 

2) 「よく知らなくても、面白そうだから挑戦する」という態度を示せる、ということは、この不透明かつ不安いっぱい、その結果安定志向が幅を利かせがちな現代日本において、チシャ猫さんが好奇心と勇気を持ってポジティブに自分の進路を考えられている、という証左です。

「曖昧な環境や不完全な情報しかない中でも、ポジティブに自信を持って前に進む態度」というのは、最近教育界でも注目されている、学力とはまた違うけど人生の成功に大きく影響する「非認知スキル」のひとつなので、それを備えていることは、どっちかっていうと誇るべきことですね。ぱちぱち。

さて、うんちくが長くなったけど本題に入りましょうか。

「アメリカの大学に行きたいけど、前例がなさすぎて親と教師がいまいちわかってくれない」というのは、日本の海外進学予備軍高校生がかなりの頻度でぶち当たる悩みです。

優秀な学生はIvy Leagueやトップリベラルアーツ・カレッジを目指すのが当たり前な中国や韓国やベトナムや(以下、近隣アジアの国全部)の同年代の学生とくらべて、情報もないし理解もないしアンラッキーだなと思うこともあるかもしれませんが、ここでへこたれてはいけない。むしろ、大人になるためのイニシエーションだと思って行動することが大事です。

まず、やっちゃいけないのは、「今すぐわかってもらおうと思って必死に説得しようとし、わかってもらえないと怒ること」。親や先生は大人といえども、他人です。今すぐ自分と同じ目線で世界を見てくれ!といくら叫んでも難しいのは経験上わかりますよね。そして、特に親御さんは君のことが大事だからこそ色々心配するわけなのだし。

実際、まだ15歳の、大人から見たら「世界を全く知らない子供」の君が、コトバの上でいくら説得を試みても難しいことは多い。なぜかって言うと、信用がないから。その信用はどこから来るのか?

行動と実績、この2つに尽きます。

「この子はアメリカ大学の受験をやり遂げる力があるし、応援したい」と思わせる、一番説得力のある方法は、「説得しよう」とコトバを飾ることではなく、

「私は出来る、ということを行動で、示すこと」です。

逆に、これが実行できれば、「応援しないほうが難しい」状態になります。何故かと言うと、アメリカの大学を目指すということは、「今すぐ意識高いだけでなく、有言実行・成績優秀のスーパー高校生になること」とほぼイコールするから。

幾つかに分けて説明しようか。

試験一発ではない、アメリカの有名大学を目指すには、以下のことほぼ全てに秀でていることが必要です。

  1. 学業成績(5段階評価で4.5以上は絶対目指すべし)
  2. 各種試験のスコア
    (英語がTOEFL iBT 100以上またはIELTS7.0必要な上、アメリカ人にも課せられるSATなどのスコアも必要な大学がたくさん)
  3. 多様な課外活動でリーダーシップをとること

どれも甘くないでしょ?

1の学業成績と2の各種試験のスコア(特にSATやACTなど)で、Navianceといって、

「この2つの数字の組み合わせで、特定の学校の合否はだいたい予想できる」

というデータもあるので、日本の大学入試みたいに、「学校は寝てばかり、予備校通って直前に一発勝負!」みたいなお手軽感はございません。ビリギャルなんかはもう完全に手遅れです。進学校の男の子によくあるガリ勉蔑視の態度の「学校の成績はわざとイマイチだけど、模試では全国○○位」も完全にアウトです。だって、アメリカの大学も、その場の学力だけではなくて、「コツコツと安定して結果を出せるほどこの子は精神的に成熟しているか」を見ているんだもの。

これに加え、課外活動も部活だけではなくて、できるだけ学校の外の世界でいい成績あるいは社会的なインパクトを残す実績を挙げたりする必要があります。ディベートやスピーチ・コンテストみたいな個人成績ものだけではなくて、それもやりながらNPO立ち上げたり、起業してみたり、チャリティ・コンサート開いたり…という、「自分の目線で社会にこういう風に関わっています」的な、これもかなり大人な行動力と意識がどうしても必要に。
アメリカには、「学生と社会人」みたいな線引はなく、高校生だろうが大学生だろうが、小学生だろうが、「社会の一員として自分の周りの世界をよくする義務と責任」みたいなものがあるわけです。

かといって、そういうのに夢中になりすぎて、勉強も疎かには出来ない。つまり、高1時点から、幅広い分野で、自分なりに「活躍」しないといけない。タイムマネジメントなんかも「勉強と部活、時々塾」とは比べ物にならないくらい複雑かつ難しくなります。

チシャ猫さんが、これを宣言してやり遂げられるなら、親も先生も、よほど話がわからない人じゃない限りは、応援するしかない状態になるんじゃないのかな。親として教育者として、子供の成長ほど嬉しいものはないんだから。

これは私がいつも「うちの子がアメリカの大学を目指し始めた!」と心配する親御さんに説明することなのですが、

「それにはまず学校の成績を上げるために、まじめに勉強し宿題を提出し試験もおろそかにしない努力が求められるので、むしろ応援すると副作用で超優等生になりますよ?『勉強しなさい』って言う必要がなくなっていいじゃないですか?
あと、必要な英語の試験のスコア。これがとれてしまえば、日本の有名私立いくつかにそれだけで合格できてしまいます。これですべり止め確保できますよね。
リーダーシップのほうも、お子さんが色々挑戦してやりたいことを見つけようと頑張るのは、進路にかかわらずいい傾向ではないですか?ここで実績を残せば、AO入試などによる国内大学受験も有利になりますし」

つまり、全体的にアメリカの大学を本気で目指す子は、その後何らかの事情で日本の大学受験に切り替えたとしても、いい結果を残せそうな子、なのです。例えばチシャ猫さんが今高3で突然塾もやめてアメリカの大学行く!と言い出したらそりゃ大変そうだけど、まだ大学受験のDの字も意識しておらず受験塾も行っていない状態なら、目指すことを応援して、得るものは多く失うものはありません。

上に挙げたこと、難しそうに聞こえるかもしれないけど、チシャ猫さんが結果的にアメリカの大学に行っても行かなくても、挑戦することにすごく意味はある。特に、アメリカの大学に進学したあとでバリバリ活躍するためには、日本のホームグラウンドでまず結果を残す!気概が必要だし。

すんごい長くなったけど、アメリカの大学を諦めたくないのなら、周りの理解を得るためにも自分自身の将来のためにも、「自分の目の前のことと、目の前にないけど挑戦してみたいこと」の両方を今すぐ頑張り始めること。行動して結果を少しずつ残すこと。これが全てです。周りの理解は、結果を出すたびについてくるから。そのうち、自分のやりたいことも見えてくるから。

あと、高1という若さを最大限に利用して挑戦したいなら、今すぐ出来ることがあります。UWCに挑戦することです。これは日本からは高1でしか挑戦出来ない上に、選ばれればコストもかからないというすごいチャンス。詳しくはリンク先をどうぞ。https://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/UWC/

応援してます。また質問が浮かんだらおいで!

 

 

<白川寧々:過去メディア掲載リンク>

日経ビジネス

MIT発の「ネイティブ脳」で日本人の未来を変えたい!~TOEFL満点でもアメリカの授業についていけない経験をバネに~
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140213/259690/

ブログ

米名門大学へ進学したいけれど情報がない高校生と白川寧々の対談 お金編
http://ningsquared.hotcom-cafe.com/wordpress/?p=855