ELT BLOG VOL.07 グローバルパスポートとしてのIELTS

皆さん、こんにちは!

現在都内の中高一貫校で英語教師をしている山本裕也です。

嶋津さんの大学の後輩という繋がりで10月24日にDMM英会話とケンブリッジ大学出版の共同で開催された「グローバルパスポートとしてのIELTS」に参加させて頂きました。

今回このイベントに参加した理由としては、自分自身が英語学習者としてさらにスピーキング力に磨きをかけたいということと、教員の立場としてどう生徒のスピーキング力を伸ばしていくかヒントを得たいと考え参加しレポートをまとめましたのでご覧ください。

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IELTSとは何か?
byブリティッシュ・カウンシル 試験部部長 安田さん

まずはBritish Councilの安田さんによるIELTSに関する最新情報のセッションです。IELTSは世界で300万人が受験している有名な英語能力試験です。日本では年間37,000人が受験しています。日本国内での知名度はTOEICや英検に比べて低いですが、世界ではIELTSは英語力を測る世界基準のテストとして認識されています。私事ですが、イギリスの大学院へ留学するためにIELTSは私にとって高い壁となりました。特に日本人が最も苦手とするスピーキングには相当苦しめられました。大学院受験前にはIELTSのスピーキングのスコアを上げるために必死で取り組んでいました。ただ留学してみるとわかりますが、イギリスの大学だとネイティブ以外ほとんどがIELTSを受験し、大学から指定されたスコアを満たして入学します。日本では誰もが知るTOEICもイギリスでの認知度が低く驚いた記憶があります。世界の大学で学ぶためにも、IELTSは避けては通れない関門になっています。

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日本人がスピーキングで成功する3つの秘訣
by タクトピアELTディレクター嶋津さん

今回の講演では日本人がスピーキングで成功する3つの秘訣として「語彙(Vocabulary)」、「話題(Topic)」, 「映像使用(Video Use)」 の3つのポイントが挙げられました。

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①Vocabulary

まず驚きだったのが、中国や韓国といったアジアの他の国に比べてテキスト本文の量が日本の場合、圧倒的に少ないということです。2.5倍〜6倍にかけて違うということ。日本の学習指導要領では高校卒業までに3000語と定められていますが、根本的に単語数が足りていないということです。英字新聞を読むにも1万語レベル以上が求められます。日本人が世界で活躍するためにも、Vocabularyをいかに効率よく学ぶかは非常に重要なことです。

今回のイベントでは、導入として実際にラテン語やギリシャ語の語源を活用した学習法を実際に示してもらいました。語源を知ることでその単語の意味がわからなくても、ニュアンスや意味がつかめる経験をしました。例えばSalami「サラミ」, Sauce「ソース」, Salad「サラダ」, Salary「給料」, Soldier「兵士」, Sausage「ソーセージ」は全てSalt「塩」という語源から成り立っている単語です。Salary「給料」は「ローマの兵隊の塩を買う金」という語源からSoldier「兵士」という単語が生まれたと連想できます。

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私が大学院時代に学んだ語彙習得の観点からも、語源を使って学ぶことは、特に上級者にとって効率的な学習法であると言われています。改めて自分の学習でも語源を使って、単語を覚えようと思いました。ただ自分で英単語の語源を調べてまとめていく作業というのは時間もかかり非効率の場合があります。嶋津さんの著書「中・高6年分の英単語 Roots」で綺麗にまとまっているので活用してみましょう。→ https://www.amazon.co.jp/中・高6年分の英単語Roots-嶋津-幸樹/dp/4863923090/ref=asap_bc?ie=UTF8

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②Topic

IELTSのスピーキングでは、複数のトピックについて意見を述べなければなりません。スピーキングのパート1は私たちの身の回りのことについて聞かれます。嶋津さんが強調していたのは、このパートで高得点を狙うということです。つまりただ単に答えるだけではなく、意識的に低頻出単語や自然な言い回し、複雑な文法を用いて応答するということです。またパート1のトピックに関しては30ほどしかないので、十分に準備して臨めるということがわかりました。このパートに対応するために、Speech Reproduction Methodという練習のやり方もシェアして頂きました。ネイティブスピーカーに彼らだったらどうそのトピックに対して答えるかのべてもらうやり方であり、DMM英会話をフルに活用して学べると感じました。IELTSではパート2、3とどんどん難易度があがっていきます。まずはパート1を徹底して勉強していこうと思いました。

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講演の中ではケンブリッジ大学出版の教材のDVDを使いながら実際のスピーキング映像を見せて頂きました。

What is the best place you have ever visited?という質問に対しての模範解答として

I think that the best place that I’ve ever visited is England. I went there for the first time this summer and I fell in love with the country. I have been fascinated by the atmosphere of England since then.

fall in love with A「Aに恋する」

have been fascinated by the atmosphere of A「Aの雰囲気にずっと魅了されている」

などの様々なトピックで応用できるコロケーションを活用することにより高得点が狙えるということを知りました。

他にもWhat is your favourite festival?という質問に対しては単純に

My favorite festival is Christmas. Every year I spend with my family and we exchange presents.

だけではなくdefinitelyなどの副詞を使い文章を飾り、さらに自分の好きなお祭りについての情報「キリストの誕生を記念する例年の祭りです」などを事前にインプットしておくことが重要であると学びました。IELTSスピーキングで8.0以上を獲得するための模範解答は以下の通りです。

My favorite festival is definitely Christmas. Christmas is an annual festival which commemorates the birth of Jesus Christ. Every year I spend with my family and we exchange presents.

このようにスピーキングは戦略次第で高得点が狙えるということです。30のトピックで低頻出語彙やコロケーションを活用しながら自分の意見を語れるようにしておくことが大切だと感じました。

さらにスピーキングについて知りたい方はDMMのこちらの記事をご覧ください。→http://eikaiwa.dmm.com/blog/31/

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③Video Use

最後に本物の動画を活用した英語学習法を提示していただきました。本物の動画とは英語学習者用にレベルを合わせているものではなく、CNN Student NewsやDiscovery Channelといった英語母語話者に向けてつくられたものです。そういった動画を見ることで、実際に使われている単語やフレーズを覚えることができ、映像と言語を組み合わせることで中核的概念の形成に役立つということです。いきなりそういった動画を取り入れるのは厳しいと思う方もいらっしゃるとは思いますが、背景知識と字幕等の文字情報を事前にインプットすることで十分に理解できます。何度も繰り返し見ることで、より理解度も高まり自分のものとなるということでした。また嶋津さんの説明を聞いていて、実際にその単語やフレーズが使われる場面や状況も動画を用いることで学ぶことができると感じました。その使われている場面を意識することで、学んだ単語やフレーズを自分の言葉として使うことができるようになるそうです。海外に行ったらこのような動画で流れてくる英語が世界基準です。まずは本物の英語をあびることから始めてみようと思います。

 

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◎編集後記

短い時間でしたが、本当に中身が濃く情報量の多いセミナーでした。特に動画を用いて英語を学ぶという観点は目から鱗でした。個人的には、次回動画を用いた学習法や指導法を実際にデモンストレーションして頂ける機会があれば、ぜひ参加してみたいと思いました。今回学んだことを踏まえて自分自身のスピーキング力を向上させるだけでなく、生徒のスピーキング力も伸ばしていきたいと思います。

 

ELTライター紹介:山本裕也

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青山学院大学教育人間科学部卒業。その後、英国公的機関のBritish Council が提供するIELTS Study UK 2015を授賞し、英国バーミンガム大学大学院で「外国語としての英語教授法」(TEFL) 修士号を取得。現在は都内の中高一貫校で勤務。