TAKTOPIA HUB 【休学座談会】ゲストインタビュー part.1

さんちゃん明朝heavy

 

第6回TAKTOPIA Hub開催決定!

日時:9月8日(土)15:00〜17:00(その後17:30まで懇親会)

場所:風土は food から (〒101-0054 東京都千代田区神田錦町 3 -15  錦町ブンカイサン 1-2F)

テーマ:大学休学(ギャップ・イヤー)

料金:無料(懇親会参加の方は500円)

お申し込み:こちらから


今回のテーマは休学(ギャップ・イヤー)です。休学経験者をゲストとして招き、休学、更には充実した大学生活について参加者と語りあう場にしたいと思います。今回から複数回に分け、イベントに参加するゲストのインタビュー記事を掲載していきます。

1人目のゲストは三高菖吉さん(28)です。学生時代、フラメンコギターや世界一周など自分が決めたことをとことん突き詰めた三高さんですが、彼の挑戦の原動力とはなんだったのでしょうか。大学入学時から現在に至るまで、彼の人生に迫りました。

 

「大学ってなんでもできそうで、なんにもできないじゃん」

大学入学当初、高校時代の友人宅によく集まっていました。その時、「大学でやるべき50のこと」といった内容の本に出会ったんです。その本には、「ものすごい量の本を読め」とか「大学生活ではすごい人に会え」とか「極端な事をやれ」といった内容が書いてありました。そこで自分は「とりあえず極端な事をやろう」って思ったんです。当時、友人と観た「ソラニン」という映画の影響もあって、大学時代は音楽を頑張ってみようと考えていました。一緒に映画を観た友人はバンドを始めましたが、自分はなかなか決まりませんでした。しかし、偶然入った定食屋で、ギタークラブのポスターを見つけ、それに魅かれて「とりあえず、俺はギターで行けるとこまで行こう」と決めたんです。

ギタークラブの見学に行くと、そこで見た演奏が、今までの自分のイメージとは全く違っていて衝撃的でしたね。その中でも一番心惹かれたフラメンコギターを始めることにしました。フラメンコギターには特殊奏法と呼ばれる変わった弾き方があり、フラメンコの歴史や独特の音楽スタイルもすごく魅力的だったんです。「フラメンコギターは世捨て人がするギター」と先輩が言っていたこともすごく格好よく聞こえました(笑)

その後はとことんギターをやりましたね。ギターが9割、ごはん1割みたいな生活を送っていました。そんな風にギターを突き詰めていくと、「結局大学ってなんでもできそうで、何にもできないじゃん」ってことに気づいたんです。大学生はものすごく時間があるけど、やることを1個か2個に絞って、とことんそれに時間をかけないと、結局今までと同じ。なんといえばいいかな、何も残らないというか、何もこれだっていうものが残らないと思ったんです。こんなに突き詰めてようやく1つ手に入れられたのですから。はたから見たら、コストパフォーマンスはめちゃくちゃ悪いと思います。しかし、そういうことを1つ突き詰めていくと、自然にまわりから声がかかるようになって、世界的にも活躍しているような人と一緒に活動できたり、いろんな場所で演奏依頼を受けたり、さまざまな経験をすることがでました。大学を卒業してからもフラメンコギターを通して、新たなつながりができることが多いですね。

 

入国初日に思ったことが「よっしゃ―」じゃなくて「やっちまったー」

そんなこんなでフラメンコギター漬けの日々を送っておりました。しかし、大学に入ってからやりたかったことがもう一つあって、それが世界一周でした。これは高校二年時に出会った本がきっかけです。帰り道に立ち寄った本屋で、何気なく手に取ったその本には、いろんな国の、いろんな年代の人の写真が掲載されていました。まず、それにすごく衝撃を受けましたね。写真とともにいろんな人の言葉が書いてあって、なんでこんなに彼らの言葉には力があるんだろうって、すごいなって思いました。その時から世界一周したいという漠然とした思いが心の中にありました。

大学入学後当初の予定では、3年生時に旅を始めようと思っていたものの、フラメンコギターにのめりこむあまり、最後の定期演奏会を終えてから旅に出たいと考え直しました。そのため、1年ずれて4年時に休学し、旅発つこととなりました。世界一周を決めるにあたっては、母を説得することが大変でしたね。なんとか理解してもらうために、毎月実家に帰っては、世界中の美しい写真を見せたり、安全なルートやプランをプレゼンしたりして、半年かけてようやく説得することができました。

そして、とうとう大学4年の4月12日、11か月に及ぶ世界一周の旅を始めました。まずタイに入国したのですが、快調な旅の始まりというわけではありませんでした。入国初日、くたくたになってホテルの部屋について、ベッドに座ったところでまず初めに思ったことが、「よっしゃ―」じゃなくて「やっちまったー」ですからね。あれほどみんなの前で「俺行ってくるぜ」って豪語していたものの、実際に行ってみると、世界一周を本当にできるか不安でしたし、一人で言葉も通じないっていうこともあって、怖いっていうのが最初の思いでした。とはいえ、始めたからにはやるしかなく、最初の数日は「とりあえず明日はここへ行こう」とか「とりあえず明日は日本人がいそうなところに行こう」とかそういう風に過ごしていました。そうやっていろんな人の話を聞いたり、いろんな人と一緒に行動するうちに「なんとかなるもんだ」ということがだんだんわかってきました。

その後はマレーシア、カンボジアを旅したのち、インドに1か月半滞在しました。1週間、朝4時から夜9時までメディテーションセンターというところで瞑想する体験をしたり、マザーテレサの家で働いている日本人スタッフの人と仲良くなったり、そんな経験をしました。ただインドは、50度を超える暑さで、衛生環境も悪いし、人の価値観も違うしで、最初の2週間は「なんでこんなところにいるんだろう」と思ったりもしました。しかし、2週間を越えたあたりから暑さや、インド人とのコミュニケーションにも慣れてきたことで、インドの生活がだんだん楽しくなりました。そんなこともあって、インドの滞在は良い思い出ですね。

インドからはヨルダン、イスラエル、パレスチナ、エジプト、トルコを渡り歩き、その後はグルジアからヨーロッパ各地を周遊しました。スペインでは友人の紹介でフラメンコ歌手の生きる伝説とされるおばちゃんの家に遊びに行ったことが思い出です。その後はアメリカに渡って、2週間ほど農家で働きながらホームステイしたのち、カナダ、メキシコを回ってコロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルーなど南米の国々を旅しました。最後にブラジルから日本に戻り、11か月にわたる旅を無事終えることができました。旅の間、さまざまな出会いやハプニングがありましたが、もっとも記憶に残っているのがイスラエルで見たサンライズです。イスラエルでは太陽が上がるとともに空の色がグラデーションとなって、吸い込まれるような青へと変化していきます。朝日を見て自然と涙が流れました。その時、ふと、「ユダヤ教徒もイスラム教徒もキリスト教徒もこの朝日が見たいがためにみんな集まったんじゃないか。そうだったらいいなぁ。」なんて思ったりもしました。帰国後は宗教や文化など旅行で生じた疑問や好奇心をモチベーションとして、それらについて大学の授業や本を読んで学びました。

 

「旅って帰ってくるところがあるからこそ旅になる」

休学をとって世界一周して、自分がすごく変わったかと聞かれると、そんなことは無くて、休学前も後もやっていることは変わらないと思います。ただ、人を受け容れる姿勢は変わったような気もします。旅に出る前は海外に出ることが無かったので、外国の人に対してステレオタイプに基づいた漠然としたイメージを持っていました。しかし、実際に旅をして、様々な人と出会ったことで、その国の人々の具体的な顔を思い浮かべることができるようになりました。こうした経験から、人と関わる際に、先入観を持たないことの大切さや、根拠をもって判断をすることの重要性を意識できるようになった気がします。人を肩書で判断するのではなくて、そのひと個人がどういう人なのかで判断するようになりました。

今、私は静岡県の川根本町というところで太陽光発電事業と農業事業に携わる仕事をしています。これと併せて、農家民宿を経営し、いろんな人に対して「第2の故郷」を提供することが今の目標です。旅を通して様々な経験をする中で「旅って帰ってくるところがあるからこそ旅になる」と思ったんです。帰ってくる家があるからこそ挑戦できる。自分自身もいろいろやりたいことがあって様々な事に挑戦していますが、それも自分自身を絶対的に受け入れてくれるような場所があるからこそ頑張れていると思うんです。疲れた時に少し滞在して、元気が出たら挑戦してみようとまた思ってもらえるような心の拠り所を作りたいですね。「第二の故郷」で誰かと一緒に小さいことから始めてみる。そうやって次の一歩を踏み出すサポートができると良いなと思っています。

自分が休学して始めた旅で感じたように、何かを始めることって、最初のうちはなんでも怖いと思います。実際、始めて見るとこんなにも大変なのかって気づくことが多いです。ただそうやって動き始めるとだいたい良い方向に向かうような気がします。今、学生生活を送る大学生の皆さんにはなんでもいいのでとことん挑戦してもらいたいですね。

 

以上、一人目のゲスト三高菖吉さんのインタビューでした。TAKTOPIA Hubは三高さんをはじめ、魅力的なゲストと大学生活について語りあい、相談できるイベント(無料)です。

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先着15名限定で募集しています。たくさんのご応募お待ちしております。

 

ライター:辻村隆文

三高菖吉/株式会社エナジーファーム 営業担当・Neo百姓
同志社大学卒。在学中はフラメンコギターを極めるとともに、休学して世界一周を実行する。
現在は株式会社エナジーファームに所属し、営農型太陽光発電や農業を通じての地域活性化事業に携わる。