TAKTOPIA HUB 【休学座談会】ゲストインタビュー part.2

濵田さん画像①

TAKTOPIA HUB  【休学座談会】1人目のゲスト三高菖吉さんに引き続き、2人目のゲストは濵田太郎さんです。大学入学前にギャップイヤーを経験した濵田さん。常に挑戦し続ける濵田さんの原点となった経験と現在までの軌跡をインタビューさせて頂きました。


 

「そんな簡単に言うな」

子供時代は親が転勤族だったこともあり、日本各地を転々としていました。小学校6年間は品川で大企業の本社が学校の隣にあるような都会で過ごしました。週末は田舎へ遊びに行くことが多く、田舎=楽しいといったイメージがありました。田舎の人々の人柄の良さを実感することも多々あり、田舎に対して憧れみたいなものがありました。

中高時代は、茨城の中高一貫校に進学しました。男子はラグビー、女子は剣道が校技という文武両道が特長の学校でした。中学時代の英語の先生が、、アフガニスタンの王族出身で戦争のために難民として来日するという経緯を持っていました。彼が退職する際、戦争によって母国に戻りたくても戻れない現実があることをききました。

その時、ふと「自分はそういう問題を解決するようなことをやりたいな」と言ったのですが、「そんな簡単に言うな」と返されてしまいました。彼自身、平和構築についてずっと考えてきたこともあるんでしょう。ただ、普段温和な彼から、初めてなにかあきらめるようなまなざしと共にそのようなことを言われたことに、中学生ながらにショックを受けたのだと思います。それから、国際協力とか、戦争を無くすってどういうことだろうと考えるようになりましたね。

ちなみに中学時代当時の夢は医者になることでした。私自身、喘息を持っていて病弱でよく病院に行ってましたし、祖父が開業医だったこともあり、医者という職業が一番身近だったんです。ただ、開業医の仕事を見ていると、医者の腕だけではなく、最新の設備に投資することもより多くの患者を助ける上で大切であることに気づきました。

父は金融関係の仕事をしていたのですが、当時、大阪の医療機関に最新設備を投資するプロジェクトを担当していました。それを見て、金融という職業がもつ可能性に魅かれるようになりました。

高校3年生になると、学校で1日だけ興味がある大学を見学出来る日設けられていました。自分は都内の大学に進学しようとしていたこともあり、同じく志望校が決まっている友人と一緒に、どこか他の面白いところへ行こうという話になりました。そんなノリで、たまたまテレビで特集されていたのを観て、「じゃあ、秋田行ったことないし、秋田行こうぜ」と言う話になって、秋田の国際教養大学を見学することとなりました。

実際に行ってみると、英語だけの授業にも参加させてもらったり、新しい高等教育のスタンダードを作っていきたいということを大学の先生たちに語ってもらったりして。当時日本トップの大学に行っとけば安泰だろうと思っていた自分にとって、魅力的に映りましたね。

高校を卒業してから大学が始まる9月までの期間に何かに取り組んだうえで入学するというギャップイヤー入試も魅力的でした。自分の高校はラグビーが強く、仲の良い友人も日本各地や海外に遠征し、活躍していました。大学に入る前に自分も何か強みが欲しいと思った自分は、ギャップイヤーを利用してから大学に行きたいなって思うようになったんです。

 

ひとつそこで人生が変わったなっていう実感があります

ギャップイヤー中は自分の好きなことに取り組みたいと思っていました。インターン先を調べていた時に偶然見つけたのが、カンボジアをターゲットとした投資ファンドでした。その会社は戦争の原因となっている貧困を止めることを主張していて、「あーこれこれ!」と思いました。国際協力と金融を掛け合わせた取り組みに魅かれ、すぐにアプライし、オファーを得ることができました。

インターン先はソーシャルインパクトインベストメントという投資を行っていました。簡単に言うと、財務的なリターンではなく、社会的にいいことを行っているかどうかの物差しを作り、それによって評価し、投資先を選定・投資を実行するという手法です。

自分自身は投資業務のサポートをするほか、社会的投資という考え方を普及させる中高生向けの勉強会を企画、開催していました。中高生をターゲットにしていたんですが、社会人も多く参加してくださって、驚くとともに大変やりがいがありましたね。

一方で、プロボノとして関わる大手外資系ファンドの方からの期待に応えることや、異なる年代の人と働くことが、精神的にも非常にきついこともありました。

5月くらいになって、同じ入試で採用された10人みんなで電話して励まし合ったことは今でも覚えています。彼らの中には震災の影響を受けた被災地を自転車で回ったり、自分のルーツである国を訪れたりするなどの活動を行っていました。今でもすごく仲いいですね。

ギャップイヤーを振り返ると、ひとつそこで人生が変わったなっていう実感があります。勉強会に参加したJICAの方から、アフリカ開発会議に向けた政策提言チームの東北学生代表をオファーしてもらったり、自分があこがれる人に出会えたというのが大きいです。

彼らは投資銀行で働く傍ら、空いた時間を使って自分の知識を社会に還元するプロボノにも積極的に関わる姿がすごくかっこよかったです。そういう働き方があるんだっていうことを知ることができましたし、ロールモデルを見つけることができ、すごく有意義な経験でした。

 

外国人が描く魅力的なニーズは地方にあるのではないか

大学入学後の1年はアフリカ開発会議に向けた政策提言チームの東北学生代表をしていました。それが終わると、今度は秋田のことを世界に発信していきたいと考えるようになり、先輩が取り組んでいた経済産業省の事業を通して秋田のニッチなものをクールジャパンとして世界に発信していくという活動に半年ほど取り組みました。

外国人を対象にしたマーケティング調査をすると、「東京や京都には飽きた。本当の日本を知りたい。」ということを耳にして、外国人が描く魅力的なニーズは地方にあるのではないかという気づきも得ました。

その後は、外資系情報機関や、外資系投資銀行、ベンチャーキャピタルにて長期インターンを経験するとともに、ハバタクのインターンとして秋田から世界へというコンセプトで、限界集落の小学校の6年生の総合的な学習の時間を設計したりもしました。

学業としては国際関係学を専攻しました。中高時代の影響もあって戦争ってどうやったら防げるのだろうというのを勉強したかったのが大きかったですね。国際関係論を学ぶ中で今までは国家対国家という構図だったのが、集団対集団、分かりやすく言えばテロリズムが中心になることが話題になりました。

そういった背景もあってカウンターテロリズムを留学先のマルタ大学にて学ぶことになります。当時、アフリカからヨーロッパへボートで地中海を横断する難民が大きな問題となっていました。

彼らの中に含まれるリスクのあるテロリストに対抗するための欧州連合の対策本部がマルタに置いていたことから留学先をマルタ大学に決めました。実際に、マルタ大学で留学中に書いたレポートがマルタ外務省高官だった教授の目に留まり、対策本部でインターンすることができました。

 

誰もが好きな場所で住むことができるような世界を実現したい

留学をしている間に就職活動にも取り組みました。外資系情報機関でインターンをする中で、上司から外資系投資銀行の方を紹介して頂くことがあり、まずはその会社のインタビューを受けました。

ギャップイヤー中に出会った方への憧れや、その時にもまだ衰えていなかった国際協力と金融への関心が高かったことが理由でしたね。インタビューを経て内定を獲得することができたのですが、もう少し視野を広くしていろんな業界を見てみようという気持ちも出ました。

そんな中で一時帰国をして大学へ帰った際に、秋田生まれ秋田育ちの友人から、仕事がないことを理由に東京で就職するという話を聞きました。こんなに秋田が好きで、秋田に残りたいにもかかわらず、仕事がないと残れないという現実を目の当たりにしました。

当時、40年後には秋田県が消滅するのではないか?というレポートが発表されたこともあり、何かしらアプローチできないかと思いました。それから、魅力的な仕事を日本中に作るにはどうすればよいか?を考えるようになり、今ある会社をより魅力的にする事業再生に強みがある会社か、新しく仕事を作っていくベンチャー支援に強みがある会社を見るようになりました。

最終的にグローバルで最大手の2社で迷ったんですが、日本中にも世界中にもオフィスがある今の会社を選びました。

現在は、途上国開発という文脈でカンボジアにおける起業のエコシステムを作ることや、地方創生戦略の文脈で秋田県のベンチャー支援に取り組んでいます。それぞれの地域のベンチャー支援をすることでそれをロールモデルとしてどんどん新たな会社が立ち上がっていくような土壌を作っています。

また、留学中に「テロリストが生まれる街で起業家支援をしたらテロが減った」という内容のTEDトークを見たのですが、自分の取り組みを通して学生時代に取り組んでいた戦争の根源を無くすことにも繋がればとも考えています。

もちろん地方創生に取り組むのは、田舎が大好きだからという理由もあります。でもそれよりも、魅力的な仕事がそれぞれの場所にあることで、誰もが好きな場所に住むことができるような世界を実現したいですね。日本中、世界中どこでも起業ができるような体制を整えることが目標です。

 


以上、2人目のゲスト濱田太郎さんのインタビューでした。

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ライター:辻村隆文

 


第6回TAKTOPIA Hub

日時:9月8日(土)15:00〜17:00(その後17:30まで懇親会)

場所:風土は food から (〒101-0054 東京都千代田区神田錦町 3 -15  錦町ブンカイサン 1-2F)

テーマ:大学休学(ギャップ・イヤー)

料金:無料(懇親会参加の方は500円)