白熱イングリッシュキャンプ講師紹介#01 〜ザンビアで見た日常的な死から教育の重要性を考える〜
|こんにちは!タクトピア ロンドンの嶋津です。
今日は、僕の友人であり今夏のサマーキャンプに講師として登場するMugiくんをみなさんに紹介します。
ザンビアに生まれ育ちながらも日本人のアイデンティティーを持ち、UCLの医学部で学ぶ彼は「貧困が鬱をもたらすその秘密」というタイトルで授業予定。
いまから授業が待ちきれませんが、キャンプの前に彼の奇想天外なライフストーリーを知って頂ければと思います。
—まずはMugiの生い立ちについて教えてくれますか?
僕はアフリカのザンビア人の父親と日本人の母親の元に生まれ、13歳までその地で育ちました。ザンビアでは日本とは比べものにならないほど危険が多く、貧困な街に住んでいました。僕の家の周りは3メートル程の電流壁で囲まれ、24時間体制のセキュリティーを雇っていました。
その後、母親の意向でより良い教育を受けるためにイギリスのヨークシャー州に引越し、現地の中学校から大学まで通い、現在UCLで医学を学んでいます。
—日本に住んだ経験がないのに日本語が上手だよね。何で?
実は、母親との会話は日本語なんです。ザンビアの補習校でも、少人数制の日本語の授業を取っていました。日本人の友達も多く学校の外では日本人との交流が多く、ザンビア人でありながら僕のアイデンティティーは日本人ですよ。笑
—Mugiが医者を目指したきっかけは何ですか?
僕は9歳の時に父親を亡くしました。幼児の死亡率も高く、HIVも蔓延しているためザンビアでは日常的に人が死にます。
ザンビア人の14%がHIVに感染しています。貧困層が多く、教育制度が整っていない上に、医療制度の充実にも政府は十分に手をつけられていません。教育が十分になされていないということが原因で、「病気や怪我をしたら病院に行く」という思考が国民にありません。
僕の周囲では、当たり前のように人が死んでいきましたが、僕自身はお葬式には参加したことがありませんでした。誰かが亡くなったという情報を耳にすることは多くても、実際に人が死ぬという意味がわかりませんでした。まだ9歳だった僕の父親は42歳で亡くなりました。そこで僕は人生で初めてお葬式に参加したことで人が死ぬということの重みを実感しました。僕が医者になることを固く決意しましたのはその時です。この時に人の命を救うことができる能力が、生きていく上で最も貴重なことであると確信しました。
—人が死ぬのが当たり前なのに、死を身近に感じにくい。異様な状態ですね。
ザンビアでは人が死ぬという概念がそもそも日本とは違うんです。
日常的に知り合いや親戚が死ぬということは珍しいことではない。特に幼児や子供が亡くなる割合は非常に高いと思います。
日本は健康でいること、教育をうけられること、十分な医療制度があることが当たり前とされる国です。
僕はザンビア国内にある病院の小児科でインターンをした経験があります。
そこでは、多くの場合、運びこまれる子供が30〜60分以内に死んでいくことが当たり前の光景としてありました。
運ばれてくる時点で既に手遅れなんです。
それは親が教育を受けていないから。
どんな状態で子供を連れて来るべきか親はわからないから。
連れてきたとしても病院で10時間以上待たされることも珍しくありません。病院に行くにしても交通費と医療費が払えず、通院を断念する人もいます。親戚や知り合いからお金をかき集めて病院に来るというのが普通です。ザンビアではその日暮らしでギリギリの生活をしている人が多いんです。
僕は、こうした日本では考えられないようなことを沢山見て、学んできました。
日本人の常識は時として非常識であることもあります。
日本に行く度に、日本は色んな意味で恵まれてすぎている国だとも感じます。白熱イングリッシュキャンプでは日本の高校生の皆さんに日本人としてすべきこと、日本人だからできることを一緒に考えたいと思います。
皆さんに、キャンプで会えることを楽しみにしています!
Facebookのイベントページにて白熱イングリッシュキャンプ2016の最新情報をお届けしています!
興味がある方は是非のぞいて見て下さいね。