Interview#03武術から転じて語学の道へ?高校生の海外挑戦記〜世界で戦うことはオモシロイ!〜

中国武術を通じて英語の必要性を痛感し、高校2年生からウェールズに留学。現在UCL(ユニバーシティーカレッジロンドン)3年生の小野力くんにインタビューを行いました!

12002120_555149007969845_2739174102701462277_n
写真中央のピースしている人が小野くん。

 

—まずは自己紹介からお願いします。
1994年の東京生まれです。17歳までは東京学芸大学付属の国際中等で日本の教育を受けて、UWC留学の制度を使って高校2年次からウェールズのUWCに転学しました。現在はUCLで心理学を専攻しています。

 

ーなぜ海外の高校に?どうやってUWCに選ばれたのですか?
まず中学3年生の時に、当時の英語の先生からUWCの存在を教えていただき、その冬に京都でUWCの卒業生と語る会に参加して興味を持ちました。高校1年の夏に東京で行われた説明会に参加。そこから本格的に海外の高校に行く準備を始めました。UWCの選考プロセスは英国数の基本的なペーパーテストと日本語と英語での面接、そしてグループディスカッションです。グループディスカッションでは日本の震災復興に関して議論しました。
※UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ):国際感覚豊かな人材育成を目的とした国際的な民間教育機関。世界各国の高校生を対象に選抜を行い、合格者をカレッジに受け入れている。奨学生は生活費や授業料が支給される。長期の他にも夏季ショートコースもあるので、興味がある人はチャレンジしてみよう!(参考:https://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/UWC/

ーなるほど。きっかけは学校の先生だったんですね。英語に対する意識はいつから芽生えたんですか?
中国武術5歳からやっていて、これまで上海、韓国、マカオ、マレーシアなどの国際大会に参加したことがあります。そこで英語の必要性を薄々ながら感じていました。それまで特別な英語教育を受けていたわけではありませんが、中学2年の夏にカナダのブリティッシュコロンビア大学の英語研修に参加したことで、英語が本当に好きになりました。それから必死に勉強!高校1年次に学内の帰国子女クラスに入れることになり、英語検定準1級を取得しました。やはり、中学2年時の短期留学が僕にとっては大きな出来事だったと思います。

ー高校1年時にかなりハイレベルな英語力を身につけいたんですね。それまでどうやって英語を勉強していたんですか?
英語の勉強には“慣れ”が必要と考えていて、その環境が僕のいた学校にはありました。具体的には、帰国子女が多く英語で行う授業が多かったことです。英語への慣れと帰国子女達の英語力への憧れは英語を学ぶモチベーションとなりました。在学中の留学と帰国子女クラスでの勉強を通して、英語力の伸びを感じました。結果的に東京学芸大学附属高校を中退してUnited World College of the Atlanticに進学することになりました。

943406_466216280120365_339994883_n
United World College of the Atlanticへの参加

現在の大学生活について質問です。UCLではなぜ心理学を専攻したんですか?
高校2年の時にウェールズの高校でIB(国際バカロレア)のカリキュラムを受けました。IBの中でPeace and conflict(平和と紛争) という心理学をベースに問題を考える授業があり、心理学に興味を持ちました。自分も中国武術をやっていたので、「どれだけ練習を重ねてもなぜ人間は緊張するのか?思ってることと体の反応が違うのはなぜか?」といった疑問を追求したいと考え、専攻を心理学にしました。

ー日本の大学と海外の大学間の、授業における違いはなんだと思いますか?
自分自身で勉強の時間を管理し、成績を取っていくという学生生活スタイルが日本の大学との一番の違いだと感じています。

心理学の基本的な成績はエッセイによって判断されます。大量の論文を読んで大量のエッセイを書くので、ネイティブに負けないように日々必死に勉強します。学期末テストなどでは着実に準備をすることでネイティブにも勝つことができるのですが、授業内エッセイなど、その場で何百字のエッセイを提出する課題にはとても苦労しています。
授業で扱われた専門用語と自分の考えをあわせてエッセイを書くには訓練が必要です。まずは文章構成になれること。そして論文を読んでネイティブが当たり前に使う表現を自分でも使えるようにすることが大切です。加えて、授業数も少なく、自分自身で責任を持って予習復習し、良いエッセイが書けるように学び続けることも大切です。

ーずばり、UCLで勉強するメリットは何でしょう?
ロンドンのダイバーシティ(多様性)には価値があると考えています。様々なバックグラウンドの人に出会い意見を聞けること、自分の専門分野に限らず、世界全体の情報が入ってくること、そして何よりも日本人としての自分の考えが確立することです。
大学の環境面では24時間オープンの図書館や夜遅くまで勉学に励む友人、このピアプレッシャー(仲間の圧力)は自分のモチベーションの源泉になっています。みんなが勉強を生活の中心に考えているので見習う点が多くあります。

11825909_10205744165657991_1096394472337338874_n
UCLでの大学生活

彼らは頭が良いだけでなく行動力が素晴らしい。趣味への追求や社会活動への貢献度はいつも感心します。あともう一つ。海外に来たからこそ経験できるのは、経済環境が大きく異なる友人ができることです。UWCの友達には高級ブランドFENDIの娘がいたり卒業生にはオランダ国王がいたり、また僕のルームメイトはイタリアのベネチアに大豪邸を持っていたので2回も遊びに行かせてもらいました。笑

ー卒業後の進路は決まっていますか?

先日ロンドンに日本のコンサル会社が来て、2社から内定をもらいました。就職プロセスは短く、ほぼ1日で決まったのが印象的です。日本では何ヶ月もかけて長いプロセスを通り抜けていくイメージだったので、海外大学だとプロセスの点でも有利かと思います。
去年の夏に日本に帰って就職活動にとりくみ、商社から内定をもらいましたが、まだ就職活動を継続中です。将来的には教育に携わる仕事をしたいと考えています。

 

ー最後に日本の学生にメッセージをお願いします。

日本には探究心が足りないと常々感じていました。

世界のことを知りたいという探究心がない。
学生の問題ではなく、その環境を提供していない日本が問題だと思います。

世界で英語を学ぶこと、世界で戦うことはシンプルに可能性が広がるということです。

日本の学生に世界で戦うことの面白さをお伝えしたいです!!