Interview#04世界に出て考えた。世の中に自分はどれだけ能力や価値を還元できるだろう?

こんにちは!タクトピアロンドンの嶋津です。
今回は日本の大学を辞め、米国ワシントンDCにあるジョージタウン大学に進学された、清水優紀さんにインタビューをしてきました!

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University College Londonにて

 

—それでは早速!自己紹介からお願いします。
はい!1994年東京生まれの東京育ちです。

アメリカのジョージタウン大学の3年生で、経済学と副専攻で数学を学んでいます。進学前は、幼稚園から高校まで白百合学園に通い、高校卒業後、慶應義塾大学に半年間だけ在籍していました。
ジョージタウン大学在籍中ですが、冬休み前の秋学期はChinese University of Hong Kongに留学し、現在University College Londonで交換留学生として勉強をしています。

ジョージタウン大学の仲間と一緒に
ジョージタウン大学の仲間と一緒に

—優紀さんは、なぜ海外進学という道を選んだのですか?
きっかけは高校2年の終わりの海外大学卒業生との出会いです。
彼は脳科学を大学で勉強していました。アメリカの授業内容の濃さや、日本の大学では考えられないようなリサーチやインターンシップの機会があることを彼から聞き、アメリカの大学に憧れを持つようになりました。

それまでの私は短期の留学経験さえもなくて、本当の純ジャパニーズ(日本生まれの日本育ち)。海外経験といっても、ハワイに旅行をしたことがある程度でした。笑

小さい頃から英語を習っていたので、英語を学ぶことには抵抗はありませんでしたが、典型的な日本の英語教育をずっと受けてきました。

高校の時に「自分はこの英語教育を受けていても一生話せるようにはならない」と確信しました。その後、海外大学を目指そうと考え始めたところ、親や先生、友達、塾の先生から反対され、「海外進学は日本の受験戦争の逃げ道だろう。とにかく日本の国立大学に進む方が賢明だ」などと言われました。ですが、周りからの反対があまりに強すぎて「逆にやってやろう」と。そこからTOEFLを受験してみました。
その結果、一般的に海外進学は不可能ではないと言われる点数だったため、親にお願いして高校3年から海外進学塾に通わせてもらうことになりました。
高校3年生の夏に飛び込んだ海外進学塾では、ネイティブや帰国子女の集まるとても刺激的な環境下で、朝7時から夜9時までSAT対策をしていました。
スピーキングに関しては劣等感を感じながらも、結果的にSAT2130点とTOEFL106点を取ってジョージタウン大学から合格をもらうことができました。

高校時代
高校時代

—なぜ慶應義塾大学をやめてアメリカに行くことになったのですか?
入学の時点で慶応は1学期だけと決めていました。

・アメリカ留学前に多少なりとも母国語で学問用語や知識をつけておきたい
・日本の大学生の友達がほしい
この2点が主なモチベーションで進学しました。
これまで女子校育ちということもあり、共学であり日本中から集まった優秀な人たちに囲まれて生活するのはとても楽しかったです。

ゴルフサークルにも入り、入学時の希望通り様々な面で素晴らしい友人との繋がりもでき、今でも仲良くしてもらっています。TOEFL100点以上を取っていたので、英語に特化したクラスに入れてもらえました。帰国子女だらけのクラスで本物の英語の授業を受けられるだけでなく、英語でのプレゼン・リサーチスキルの習得にはとても有益でした。

ところがそのクラス以外は、身につける知識内容が興味深い授業は多かったのですが、教授が一方的に話すという形式ばかりで刺激的なクラスは少なかったのを覚えています。

—ジョージタウン大学についてもう少し教えてくれますか?

ジョージタウン大学は1789年に創設されたキリスト教の大学です。卒業生に元アメリカ大統領のビル・クリントンがいることで有名で、国際関係分野においては世界トップレベルです。メインキャンパスはアメリカの首都ワシントンDCという、世界の政治の中心にあり、それが進学した理由のひとつでもあります。大学にヒラリー・クリントンや米国国務長官、世界各国の首脳や国際機関のヘッドがいらして講演するのも全く珍しくありません。

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ジョージタウン大学の校舎

 

ージョージタウン大学以外にもバーナード女子大学、スミス大学、コネティカット大学、オクシデンタル大学、ドレクセル大学、フィリップス・エクセター・アカデミーにも合格したそうですね。
ーその中で、ジョージタウン大学に決めた理由は?そして日本の大学と比べて海外大学での生活はどうですか?

ジョージタウン大学の合格通知には「あなたは20,000の中で1800に選ばれました」と書いてありました。
その言葉から、英語バックグラウンドのない自分がアメリカ人と同等に戦えたんだと実感し、進学を決めました。

ワシントンDCと、最高の立地のニューヨークにある女子大とどちらにするかさんざん悩んだ挙句、総合大学であり日本でも卒業生の活躍が多いジョージタウン大学に進学することにしました。

また、世界一の大国の政治の動きをダイレクトに見られる街で大学生活を送るのは非常に魅力的だと感じました。実際に入学してみて、日系テレビ局のDC支局でインターンを通じて、日々政府機関の動向を見たり取材したりする機会もありました。
海外留学に関しても寛容であり、1年間を2つの大学で過ごさせてくれたことにも非常に感謝しています。

ジョージタウン大学での生活が始まった瞬間に「この大学で一番英語ができない」ということに気づきました。笑

入学直後にTOEFLのライティングで満点を取っていないインターナショナルスチューデントが呼び出され、大学でイタリア人と私の2人だけ。中国の地元の高校から来ていて普通の教育を受けてきた中国人の友達も全くアクセントのない英語を喋っており、周りの留学生はTOEFL110点以上が当たり前という状況でしたので、最初は苦労しました。

慶應義塾大学と比べて優れている点のひとつは、教授と学生の近さだと思います。慶應義塾大学の1年目はほとんどのクラスが大教室に数百人の学生で、教授と話す機会はありませんでした。

ところがジョージタウン大学の場合、私のこれまで取ったクラスは学生が20~60名ほどで教授との距離も近く、気軽にオフィスに行ったり、ご飯を食べに行けたりもします。もちろん100人規模の授業もありますが、そのようなクラスでも、日本の大学と違う点は、教授が発言を求め、学生とのやり取りがあることだと思います。

ジョージタウンは特に最初の2年間に様々な科目に触れて、教養をつけることを重視しています。哲学、神学、社会科学、数学、歴史、語学が必須で中国語、フランス語など、これまで幅広い科目を勉強してきました。日本の大学にも専攻と関係のない一般教養の授業はありますが、アメリカでは一般教養だからといって気を抜けるというわけではありません。必修でなければ取ることはなかったであろう、哲学や神学の授業では自分の価値観を見つめ直すことができました。
日本にいるときは、自分は周りと同じ特に価値のない大学生のひとりと考えがちだったのですが、アメリカでの大学生活を通して、自分の社会に対する価値や、自分は何を世の中に還元できるかと考えるようになりました。

—今後のやりたいことはありますか?
まずは残されたUCLでの生活で、ヨーロッパ旅行をたくさんしたいです!香港での友人がヨーロッパ各国にいるので、彼らとの関係をつなぎ続けたいことが一つ。

また、高校で生物学選択だったため、世界史の知識が皆無なのです。なので、旅行を通じて歴史の一般常識をつけたいと思っています。

今年の夏は外資系投資銀行でのインターンも決まっているのでそれに向けても勉強していきたいです。卒業後は何をするかわかりませんが、日本に帰るとは入学時から決めています。
ここで得た知識と経験は日本でこそ発揮できると確信していますし、ずっと育ってきた日本に僅かながらも直接的にリターンしたいです。

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—それでは最後に日本の学生にメッセージをお願いします。

日本人の全員が全員海外に出ろとは言いません。
日本は世界で最も安全で不自由が少なく、政治や社会に問題があるとはいえ、伝統や文化面からして、海外に出た自分でも一番住みやすい国だと思います。

しかし、大人になってから見る世界と今見ておく世界は違うと思います

責任がなく、自由な環境がある学生のうちに海外に出て、いかに日本人が恵まれているかを知っておくことは、将来必ずポジティブな影響があると考えています。日本人の篭る感覚は世界では通用しません。
海外進学を選択肢の一つとして考えてみるのはどうでしょう?