トランプ時代がやってくる。海外進学どうしよう!?【教えてねねさん!「お悩み相談室」連載コラム編 『トランプ時代の海外進学』Part1】
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グローバル進路相談ならどんとこい。
日英中のトライリンガル・自力で海外進学の道を切り拓いた
“ねね”が日本の学生のお悩みをサクッと解決!
<プロフィール>
白川寧々 (Ning Neinei)
TAKTOPIA共同創業者。北米統括。中国はハルピン生まれ、日本育ち。17 歳で一念発起し、塾にも語学留学にも一切頼らず、完全独学でTOEFL・SAT・エッセイの洗礼を受け、Duke 大学に進学。アメリカで会計系大手コンサルティング会社勤務を経て、MITの経営学修士(MBA)を修了。MIT在籍時に、「英語圏での活躍を夢見る日本の学生の力になりたい」と思い、実践型英語習得メソッド”Native MindTM”を開発し、MITより公認を得る。現在はMIT Entrepreneurship Bootcampの公認講師および日本支部マネジャーとしても活躍する。
こんにちは。TAKTOPIA media「お悩み相談室」事務局です。
お待たせしておりました「ねねさんのお悩み相談室」久々に開室です!パチパチパチ
過去、数々の悩める質問にお答えしてきた「お悩み相談室」ですが、
今回は新たに、話題のトピックを扱った連載コラムを掲載します!
第1号目のテーマは、『トランプ時代の海外進学』!
全世界に衝撃を与えた米国大統領選挙の結果発表から早1ヶ月が経ちました。
関連ニュースは後を絶たず
日に日にトランプがもたらす影響力は増しているようにも感じます。
戸惑いを隠せない事務局は、思い切ってねねさんに聞いてみました。
「トランプ時代におけるグローバルな生き方と大学選びとは?」
ということで、
コラム初回は序説として、
現状どんなことが起こっているのか、起こりうるのかを
ねねさんの視点からまとめてもらいました◎
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『トランプ時代の海外進学』Part 1
私も、想像に難くないと思うが、このたび2016年米国大統領選の結果に嘆きながら天を仰いだリベラル寄りの人間だ。トランプ氏の過去及び現在に至る悪辣非道発言(と行為)に対する嫌悪感はもちろん、何より米国初の女性大統領は誕生してほしかったのだ。そこらの思いは色々あるけどあんまり語らないでおく。
だが、ただ嘆いても仕方ないので、トランプ氏が大統領になることによって、米国移民しかけの私や、これから進学留学をしにくる日本人学生への想像される影響について考えてみた。
あまり政治的な詳細には言及していたらキリがないのでわざとざっくり説明するが、トランプ氏が実際どういう大統領になって何をするかということに関しては、実は誰も確かなことはわからない状態だ。これは、彼が政治家歴ゼロ年だというのもあるし、選挙戦中に公約として掲げたムスリムに対する排外的な政策や、メキシコに壁つくることや、国民皆保険制度に近いオバマケアを撤廃することについて、当選した直後に「やっぱり、これさあ・・・むにゃむにゃ」と言いはじめているのもある。過去の実績値からして、選挙戦で言ったことは100%なかったことにされてもおかしくないレベルの発言の軽さなので、メディアでも憶測が飛び交いまくっている状態だ。
だから、私も当然、アメリカがどういう感じになっていくのか、わからないことが多い上で、進学留学就業者の想定影響度のレンジを考え、その上で、これからの世代のグローバルな生き方とか、大学の選び方を述べてみる。
結論から言うと、トランプとか、他のどんな排外主義者が国家元首に選ばれても、ヒト、モノ、カネのグローバル化そのものがストップして、「生まれたところでおとなしく生きればいいじゃないか、海外なんか出ず、英語なんかやらずに」なんて時代になることはないと思うから安心してほしい。
「反グローバル化の台頭」なんて言う人もいるけど、例えばそういう人たちはグローバル化の恩恵以外の何者でもないスタバとか家電とかTwitterとか無しに生きる答えを持っているわけではない。ただ、現状の悪いところだけを変えろと、騒いでいるのがマジョリティだ。
物理でやったかもしれないけど、すべての作用には反作用がある。アメリカという国では、特にそれが激しいし、迅速だ。
最悪の事態のひとつを想定してみよう。
例えば、高学歴移民の就業ビザが制限され、シリコンバレーがアメリカのテクノロジー起業のユートピアでなくなりはじめたら、それこそ世界の各地で台頭しまくっている、「ここを次のシリコンバレーにするぞ」的な場所、例えば既にテック起業聖地のひとつであるテルアビブとかクアラルンプールとかシンガポール、深センなどに人材と資金のチャンスが巡ってくることになる。
そうなる前にカリフォルニア州自体がアメリカから独立するぞゴルア!と息巻いているシリコンバレー人もいる。
アメリカの有名大学で(その可能性は非常に少ないとはいえ)、排外主義者が幅を効かせるようになり、言論が統制され、科学研究費が制限され、マイノリティな優秀学生や教授が活躍しにくい状態になったとしたら、今も結構なペースで進んでいる、米有名大学のグローバル拠点化が本格化するだけかもしれない。例えば、ニューヨーク大学のシンガポールキャンパスが「学費高い割に教授の質がよくない」とか文句が噴出しているが、米国からの才能流出によって、世界の他拠点が恩恵を受ける可能性は高い。歴史的にも、ろくでもない例だけど、ナチスの台頭によってアメリカに亡命したユダヤ人科学者が、その後原水爆の開発に貢献した、なんてことは起きている。
日本にだって、そういう人たちが流入してくるかもしれない。日本は高学歴移民の受け入れにはかなり積極的な政策を打ち出している。「日本語しか通じない」「給料が安い」「外国人には住みにくい」とか文句言われているけど、人数が増えたらまた違う雰囲気になるだろう。そうしたら、足元からグローバル化だ。
現実的に、アメリカの大学にお金と才能をもたらすだけの留学生ビザが制限されることはないだろう。現在日本でシリコンバレーに就職したい人がみんな心配している就業ビザのH1Bに関しては、トランプは怪しいインドのエージェンシーを制限する可能性が高いとみられているので、例えばバークレー大学卒業してGoogleからオファーもらいました!みたいな日本人は、むしろ抽選に当たりやすくなる。
ここで気づいた人は気づいたかもしれないけど、これから海外進学して世界で活躍したい、広い視野と様々な才能を開花させようとしている読者たちや、もうそれをやった私のような人間が、本当の意味でトランプ大統領の影響を受ける規模と可能性は少ない。私のまわりのリベラルな人たち(つまり友達全員)は、おしなべて嘆いているが、一番直接的な影響は、実は減税とかかもしれないのだ。嗚呼。
アメリカに憧れる若者たちが同時にあこがれている、リベラル文化、多様性の尊重とか自由とか最新テクノロジーとかイノベーションのエコシステムとかは、世界各地に輸出されている。
そういう事情を踏まえた上で、これからの海外留学、進学について、アメリカとアメリカ以外の選択肢両方について、シリーズもので検討していきたいと思うので、お楽しみに。
「ねねさんのお悩み相談室」次回は年明けです。お楽しみに〜 🙂